松風ストリートでお店を営んでいる人や、近辺の気になる方々にお話を聞いて記事にする企画、『松風トーク』。
第9回のゲストは、株式会社takibiの二本松 航・真央(にほんまつ わたる・まなか)さん。
Webに関する事業をメインに、ご夫婦で会社を営まれています。
真央さんは松風ストリート編集部メンバーの一員で、本サイトのデザインやイラストも手掛けてくれています。
takibi(焚き火)の名の通り、温かい空気がいつも流れているお二人に、ご夫婦での働き方や暮らし、ステキな関係性について伺ってきました。
※以降、話者を(航)(真央)と敬称略にて表記します。
takibiってどんな会社?Webのお仕事をする2人。
-それでは、よろしくお願いします。
まずはどんなお仕事をされているか教えてください。
(航)
takibiは会社として運営しながらも、実は2人とも別々のことをしていて。
お互いWebに関することを仕事にしていますが、それぞれで働いていますね。
(真央)
そうそう。フリーランスが2人いる、という感じです。
-なるほど。それぞれどんなお仕事を?
(真央)
わたしは、Webデザインとイラストを仕事にしています。
大きい仕事だと企業のホームページを作ったり、小さいものだとチラシなどを制作していますね。あとは、開業する人のためにロゴを作ったり、挿絵としてイラストを書いたり。
(航)
あと、Webではないけど最近はチョークアートも書いていたよね。
(真央)
そう!
廃校だった場所をシェアオフィスとして活用している知人から、相談いただいたお仕事でした。
黒板が活用されていないので、「黒板上でアートとして何かやりたい!」という経緯で始まった案件です。
作品として、文字そのものをデザインして書く「ハンドレタリング」を大きく活かしたものに仕上げましたね。
-普段のWebのお仕事とは一風変わっていて、素敵ですね。
(真央)
画材がチョークで、一度っきりの作品だったからかな、Webの仕事にはないアナログならではの面白さも再認識できたし、心にとてもグッと来たんですよね!
今後はこういった仕事も増やしていきたいです。
(チョークアート完成後の真央さん)
-航さんはいかがですか?
(航)
ぼくは、メインがWebマーケティングです。
簡単に説明すると、Googleなどで検索したときに、サイトが検索結果の上の方に表示されるようにして、より多くの人にサイトに来てもらえるようにする、ということをしています。
あとは半分趣味・半分仕事という感じですが、壁打ちの相手やコーチングのようなこともしています。(※壁打ち:話を誰かに聞いてもらって自分の考えを整理すること)
個人の課題だったり人生における相談ごとを聴きながら、整理して、「今後こうしていきたいね」といった方向性を一緒に探していくサポートです。
どちらの仕事にも共通して言えるのですが、整理・問題解決するために働きかけるのが好きですね。
「正直に」「真っ直ぐに」歩み続けてきた2人。
-めずらしい働き方ですね。
今の働き方に行き着いた経緯を聞かせてもらえますか?
(航)
…流れ着いたという感じかな(笑)
流れ着いた先で、そこから意思を持って選択をしてきたというのが正直なところ。
-流れ着いた?
新卒で入社した会社は上手くいかなくて、半年で辞めちゃったんですよね。
そのあと派遣の仕事を始めて、またしばらくして正社員として働き始めたけど、体調が悪くなって朝起きれなくなっちゃって、、
「もう会社で働くのはやめたほうがいいかもしれない」と気づきました。
それがフリーランスで独立しようと思ったきっかけです。「ここはダメだから次はこっちだ」みたいな。
独立後も、楽しみながら稼げる仕事を模索していたし、家族ができたりして人生のフェーズが変わるごとに働き方のバランスを取っていたら、今の形に至りました。
-ずっと変わり続けている印象ですね
変わり続けてはいるんですが、、
嫌なものが本当に続けられなかっただけで「自分に正直に」というスタンスは変わらないですね。
目の前の出来事だけ見ると移り変わっているけど、そのスタンスは変わっていない、というか。
(真央)
会社員を辞めたときの選択が、航の今のスタンスに繋がっているのかもしれないね。
当初は「その選択しかない」というところから始まったかもしれないけど、自分に正直な選択をしたことで、結果的に良い方向に行けた!という体験が積み重なって、「自分に正直に」というのが信じられる基準になってきたのかなって。
(一同聞き入って)たしかに。
-真央さんはどんな経緯でフリーランスに?
(真央)
わたしは元々、変化が怖い人間だったんですよね。
学童の先生(前職)として、ずっと働き続けるつもりだったし…
でも航のフリーランスとしての働き方に憧れて、私も30歳までには「フリーランスというものに挑戦してみたい!」とか、「子どもが生まれても仕事がしたい!」というチャレンジの気持ちが大きかったかな。
-チャレンジしたい!という気持ちが強いんですね
そうそう。
当時は「フリーランスになりたい、Webデザイナーになりたい」というよりは、「チャレンジしたい」が強かったんです。
今はまた、気持ちがちょっとずつ変化していて、「人生本当にやりたいことやらなきゃもったいないな」と思っています。
-その変化、きっかけが気になります。
平塚に来てから、やりたいことをやっている人に出会ったり、子育てを通して自分のための時間が貴重になっていく中で、そう感じたかな。あと、自分は不器用なんだな、真っ直ぐじゃないと生きられない人なんだなと気づいたんです。
真っ直ぐじゃないと何かが崩れる。何かがダメになっちゃうなって最近思う。そうじゃないと生きられないなって。
家族として対話し続ける2人、そして子どもの存在。
-仕事においても、ご夫婦の関係性においても、支え合って歩まれている印象ですが、
おふたりとしてのあり方で大切にしていることはありますか?
(航)
パートナーシップは人生において大事だなって昔から考えていて、パートナーの幸せが自分の幸せに直結するなと思っているんですよね。
仲が悪かったり信頼関係がないと、自分も不幸になるから。
2人でのコミュニケーションはずっと取っているので、大事にする/しない以上のもの。
最初は、お互い不器用だったからぶつけ合いだったけど(笑)今では全然喧嘩しないかな。
航という単体、真央という単体、夫婦としてのユニットを意識して、それぞれの人格を尊重しながら話し合っている感じです。
夫婦として、これを作っていったというより、そうなっていたという感じ。
-真央さん、齟齬はないですか?
(真央)
うん、ないです。
私たちは、ぶつかっていく中で「腹を割って話すほうがお互い居心地が良い」と偶然気づいたんですよね。
パートナーシップにおいてお互い大事にしたいものがたまたま似ていたから、こうなっていったのかも。
(航)
お互い変わっていったよね。
自然と中和していったというか。
ぼくは「自分が正しい!」と尖っていたときもありましたが(笑)
真央は、「正しいより楽しい」という選択があることに気づかせてくれて、すごく感謝してます。丸くさせてくれたというか。
(真央)
私も感情的になったり我慢してたときもあったけど(笑)
いまは根底に愛をもって相談に乗ってくれるし、つらい気持ちに寄り添って、一つ一つ話してくれるから私も安心して前に進めますね。
-最後に、今後やりたいことがあれば教えて下さい。
(真央)
子どもがいる前提で、家族の暮らしをより楽しくしていきたいです。
いま子どもが2人いるんですが、最近長男が言葉を喋れるようになってきたんです。今日も朝ごはんのときに意見言ってきたりして。(笑)
これまで2人(航・真央)+赤ちゃん2人(長男・次男)だったのが、今は3人(航・真央・長男)+赤ちゃん1人(次男)という感覚になってきて、もうすぐこれが4人という単位になる。4人で会話をしたり考えることが前提になってくる。だからこそ、そこでの関係づくりを楽しみたいなって。
子どもの存在が、私たちの関係性の中で日に日に大きくなってきているから、楽しく育てていきたいなと思ってます。
(航)
ぼくは楽しいと思える仕事を増やしていきたいですね。
Webマーケティングは得意だし好きな部分もあります。だけど、基本は数字が重要視されるし、「遠い」感じがする。遠くのだれかのための仕事なので、自分が何をしているかわからなくなる、というか。
でも、最初にお話しした壁打ちやコーチングは、まさに目の前の人に対する仕事だから気持ちがいいなと思っています。人と人の間に温度感がある。
「体温がある」というのを大事にしているので、いずれの仕事でも、体温のあるやり取りをできる仕事を増やしていきたいかな。
-takibiの名前の由来を感じられるお話ですね
(真央)
そうそう、「体温のある仕事を。」ですね。
–
インタビュー編集後記
自分にも他人にも素直に対話し続ける、という姿勢の大切さ。
言葉にすると至極当然に聞こえるものの、航さん・真央さんの語り・所作から感じられるその重みが今も心に残っています。
そして、ほんの身近な一本道に、こんなにも素敵なご家族がいることー
それに気づき、
灯台もと暗し
という言葉を、思わず想起してしまう。
外の街の魅力ばかりに目が行ってしまうこともありますが、実は、ご近所の人・お店・場所、どんなところにも未知な物語があって、それらの美しさには自分の目線次第でいつでも出合いなおせるのかもしれません。
「自分に正直に」「真っ直ぐに」対話する姿勢こそが、何かに出合いなおすときの鍵なのでは?
そんなこともおふたりから教えてもらった気がします。
航さん・真央さん、素敵なお話をありがとうございました。
筆者:てる