こんにちは、松風ストリート編集部の勝股です。
松風ストリートでお店を営んでいる人や、近辺の気になる方々にお話を聞いて記事にする企画、『松風トーク』。
第11回のゲストは、クリーニング屋のパームさんです。
小菅渓太(こすげけいた)さんと、社長である小菅稔(みのる)さんにもお話を伺って、少しだけ作業風景も見学させてもらいました。
普段お世話になっているクリーニング屋さんに改めてじっくりお話を聞く貴重な機会となりました。
前職の経験を活かしたクリーニング屋さん
-渓太さん、今日はよろしくお願いします。パームはお父様がはじめた会社なんでしょうか?
現在の社長は父ですが、クリーニング屋をはじめたのはおじいちゃんです。
自宅の1階部分で1960年にはじめたそうです。
それを父が継いで、平成元年に松風町でお店をはじめました。
-そうだったんですね。パームというお名前はどこから来たんでしょう?
うちの父親がサーフィンをやっていて南国っぽい雰囲気が好きで。
ヤシの木を意味するパームになったそうです。
-お父様、サーファーなんですね。渓太さんはもともと家業を継ぐつもりだったんでしょうか?
大学を卒業してからは、不動産の営業の仕事を5年弱しました。
当時ITバブルの時期だったこともあり、IT業界に転職しまして。
そこでも営業の仕事をしてたんですが、月曜から土曜まで。始発で家を出て、子どもが寝てるときに帰ってくるような生活をしていて。
子どもがどんどん大きくなるのに寝てる姿しか見れなくて、、
これはちょっとよくないなと。
でも、忙しすぎて転職活動もできないくらいだったんです。
それで、とにかく仕事を辞めようと思って
なんにも次のことは決まってなかったけど辞めたんです。
その時にちょうど父がクリーニング屋を少しずつたたんでいこうとしていて。
少しずつお客さんを手放していってました。
クリーニング屋には一般のお客さんとは別に法人のお客さんもいて。
例えば、自動車の整備工場や、病院、ホテルなどの制服や決まった作業着があるような会社ですね。
それを見てて、「もったいないな」と思って。
「やらしてくれ」って言って。
それが10年前くらいのことですね。
-ここまでの10年について教えてください。
父が継いだ時はすごく景気のいいときでしたが、今はユニクロとかGUとか服が安くなってきているのでみんなクリーニングじゃなくて新しいの買っちゃおうとか、メルカリで売っちゃおうみたいな流れがありますね。
クリーニングに出すのはダウンとかコートという感じかなと思います。
一方で、工場や病院などの制服をクリーニングするというニーズは変わらずあるので、事業者向けのホームページを作って、法人の方々にも見つけてもらえるように工夫してます。
-前職のIT業界でのお仕事を活かされているんですね
そうですそうです。
僕の中では、やっていることはあまり変わってないなと思ってます。笑
コンテンツはITからクリーニングに変わったけれど、活動は変わってないというか。
-興味深いです。
”そこにある”ことの大切さ
-パームはどんな雰囲気の場所なんでしょう?
うちは僕や社長も含め、全部で9名のスタッフがいますが、最初は家族がスタートだったこともあり、親戚みたいな雰囲気ですかね。パートさんも長い方だと10年以上やってくださっている方もいて。
組織としても、どんどん大きくしていこうというよりも出来ることを少しずつやっていこうって感じで。
目標というわけではないんですけど、高久製パンってご存知ですか?
-弦斎カレーパンの?
そうですそうです。
高久製パンみたいな雰囲気は素敵だなと思います。
高久製パンって、平塚市の小学校に給食のパン出してるんですよ。
でも子どもたちもそれを「高久製パンだー!」って思ってるというより、そこにあった、身近にあった。という風に感じてるんじゃないかと思うんです。
”あるから使う”とか”近いから使う”とか
”そこにあった”みたいなことって、すごく大切なことだと思ってます。
※高久製パン:平塚名物の弦斎カレーパンでおなじみのパン屋さん
-渓太さんがお仕事進める上で大切にされていることはありますか?
そうですね。”なんでも聞いてみる”ことでしょうか。
知らないことのほうが多いと思っているので、自分で考えて進める前にとにかくいろんな人に聞きますね。洗剤のこと、機械のこと、仕事のことじゃなくても。
もちろん自分でも考えますが、自分の価値基準を信頼し過ぎないようにしています。
最終的に決める時は自分ですが、それまでは色んな人に聞きます。
-松風ストリートについても、なにかご意見があればぜひ教えてください。
実は、もともとこういうものがあったらいいのにって思ってました!
平塚の南側って北は線路と南に海、東西は川で区切られているので、ある意味とっても商圏が狭い場所だと思います。外から来てもらうには知ってもらうことが大事だと思っていて、松風ストリートみたいなものがあったらいいなと思っていました。
見つけた時は、「あるじゃん!」と思いましたよ。笑
パームは虹が浜にもお店があるので西海岸通り商店街バージョンがあってもおもしろいなと思っています。
社長にも立ち話ですこしだけお話を伺いました。
22の時、1980年に今の息子のように仕事を継いでね
気づいたら40年経ってたね。笑
父の頃は手仕上げで職人の技術を要求されるような時代だったけど、だんだん機械化が進んでね。ただ、完全に機械任せというわけにもいかないから機械を使う人の技術や知識が大事じゃないかな。私は機械のメンテナンスなんかもやるよ。
-機械をいじったりするのはもともとお好きなんでしょうか?
そうだね。時間さえあればそっちをやってたい。
まぁでもそんなことも言ってられないんだけど。笑
-40年以上、クリーニングのお仕事をされている稔さんから、私たちが洗濯について知っておくといいよみたいなことってありますか?
そうだね。
最近の洋服はけっこう寿命が短いものが増えたように思うな。
例えば合成皮革なんかは3~4年でダメになってくるし、石油系の素材も熱に弱かったり、何度も洗っていると剝がれたり、ぼろぼろになってくるんです。
洋服屋さんとしては販売時にものの寿命をわざわざ伝えたりはしないので、買う人は知らないことも多いのかなと思います。
そういった製品は見かけ上かっこよかったりしても痛むのが早いんです。
クリーニング屋としてもすごく気をつけて取り扱っていますし、ものによってはお受けできないこともあってね。
上っ面だけで判断できない物が結構増えたなと思ってます。
編集後記
自分がよく通っているお店の催行者に話をきくのはいい。
特にクリーニング屋さんなど
役割がはっきりしているお店では長居は無用というか、用事を済ませたら帰ってしまうというのがほとんどなんじゃないだろうか
(まぁ居座られても仕事の邪魔になるだろうし)
普段からお世話になっているけれど
じっくり話をきいたことがない人は沢山いて
話をきくことで、または自分が話すことで
少し関係性が変わる
立っている場所が少し移動する
なんてことがあるんだと思います。
パームの渓太さん、稔さん貴重なお話をどうもありがとうございます。
これからもよろしくお願いします!
筆者:勝股 淳