編集長樋口の原チャで行こうvol.2 〜全国の町を訪ねながら考えたこと〜

エッセイ

編集長樋口の原チャで行こうvol.2 〜全国の町を訪ねながら考えたこと〜

2022.08.11

こんにちは、原チャで日本を巡っている樋口です。前回は「山の暮らしと海の暮らし」について書いてみました。今回は町の雰囲気に大きな影響を及ぼしていそうな、町のサイズ感の違いについて、考えてみようと思います。

大小さまざま日本の町

原チャで旅をしていると、大小さまざまな町に遭遇します。基本的には走り去ることが多いのですが、時にはカフェに立ち寄ってみたり、ときには滞在してみたり。

滞在した中で1番人口が少なかった町は、島根県の温泉津。3,000人ほどが暮らす町でした。一方で、日本で1番大きな都市である東京にも足を踏み入れています。

交通量も違えば、建物のスケールもまるで違う。インフラが違うから、それに合わせて生活様式(生活時間や仕事、人との関わり方など)も変わってきます。

町のサイズ感にもグラデーションがある以上、なにか正解があるわけではありません。でも、暮らしを考えていくときに思った以上に町のサイズは大きな影響を及ぼす要素。旅の中で感じた3つのことを取り上げながら、暮らしに与える町のサイズ感の影響を考えてみました。

①人の距離感

田舎では人が少ない分、人との関わりがいやが応にも濃くなります。一方で、都会は人がたくさんいるにも関わらず、孤独を感じることが多いように思います。

それは、たくさんの人がいたとしても、ほとんどの人とは他人のままだから。繋がりのある人って近くにいないことが多いので、どうしてもひとりを感じる時間が増えてしまいそうです。

僕は3年前、東京に引っ越す計画がありました。でも、コロナによる緊急事態宣言があったため、平塚に残ることに。あのとき、もしも引っ越していたなら。今頃ひとり寂しい夜を過ごしていたのかな?という想像は容易にできて、考えるとゾッとします。

でも、田舎では知り合いとすれ違うことなんて日常茶飯事。旅の中でも「あ、今日はここ来てたんですね!」と、再び遭遇することもしばしばありました。

②暮らしの時間

これは文字通り、暮らしが何時に始まり何時に終わるかということ。田舎の夜はとても暗い一方で、都会の夜は煌びやかで、何時になっても誰かが起きています。

24時まで電車が通っている環境に慣れると、いつの間にか日をまたいでしまった、なんてことは当たり前ですが、田舎にいると21時には居酒屋も閉まります。だから、21時には町は真っ暗に。身体が自然に近いリズムで、生活を営むようになります。

都会に暮らしていると、いつの間にか人工的な光にさらされて不自然な時間の流れを錯覚しているのかもしれません。

③便利なインフラ

交通網しかり、買い物ができるお店しかり。生活を営む上で必要なものがすぐに手に入る環境があることは、当たり前のようで当たり前じゃない。

「コンビニの数より神社の数の方が多い」と聞いたことはあるけれど、都市伝説かと思っていました。でも、旅してみると「たしかにそうかも」と思う瞬間は早いうちに訪れます。最寄りのコンビニは歩いて行けないなんてことはざらにある。

地方にいくとそんな環境が無数に広がっています。でも、そんな不便さがあるから田舎の暮らしでは自分たちでつくろうという意識が芽生えやすいのかもしれません。

自らの手でサウナや小屋をつくったり、はたまた里山をつくる人たちに出会いました。自分にはできないなと思いながらも、日本だけでも本当に色んな人がいるんだなとただただ感心しています。

25万人が住む平塚市

2021年のデータによると、私たちが住む平塚市は人口25万人。全国でおよそ800ある市のうち、85番目に人口が多い場所みたいです。旅に出るまで気づきませんでしたが、この平塚という場所は、カテゴリー分けすると圧倒的に都会に属するし、インフラも整っている便利な土地だと感じました。

でも、松風町にはほどよい距離感が保たれている。そのことは新しい暮らしをつくっていく上で、大きなヒントが隠れているようにも思います。

そんな都会に位置付けられながらも、自由な気風を持って、ゆるい繋がりを保っていけたら、心地よい生活に近づいていけそうな気がします。

ほどよい距離感の正体

じゃあ、ほどよい距離感ってどうやったらつくられるのでしょう。

暫定解でしかないですが、そのヒントは交換の頻度にあるのかなと思います。毎日のように少ない時間であっても顔を合わせる。それを積み重ねると、自然と波長が合ってくる。

そのうち勇気を出して挨拶をしてみる。すると言葉の交換が生まれます。田舎においてはひとたび関わりが生まれると、余った農作物を譲るなど、ときに物理的な交換にまで発展します。

そんな言葉の交換や気持ちを表す物の交換が繰り返されるうちに、ほどよい距離感が生まれるのかもしれません。

その挨拶のキッカケとなりうるのが「松風ストリート」。だから、共感して活動を共にさせてもらっているのかもしれないなと思いました。

編集部メンバーを町で見かけた時には、「松風ストリートみてます」などお声をかけていただけたら、とても嬉しいですし、町の皆さんに参加していただけるようなイベントもこれからやっていけたらと思っているので、どうぞよろしくお願いします!

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